追悼・・・大島渚監督
巨星墜つ。
大島渚監督が亡くなったからかもしれないが、今まで見ることの出来なかった映画を鑑賞する機会に恵まれた。
前からずっと観たいと思っていた映画「愛のコリーダ」。
センセーショナルなハードコアポルノで、日本での公開当時はズタズタに編集されたと聞いた。
私が観たのは恐らくフランス公開のノーカットオリジナル版。
変な話だがノーカットボカシなしで観られて本当に良かった。
究極の描写による究極の愛の形。
フランスで絶賛されたのがとても良く判る。
この映画は、昭和11年に実際に起こった猟奇的殺人事件「阿部定事件」が元になっている。
鰻料理店の亭主石田吉蔵の愛人阿部定が、逃避行の末吉蔵を殺しその局部を切り取って4日間逃げた後捕まるという実話なのだ。
映画では、その吉蔵と定のインモラルな日々の描写がとにかく凄絶。
緻密に作られた当時の時代背景と相まって、エロでありグロであり、美しい。
常識的な人なら眉をひそめる内容には違いないが、何かを作っていく人であれば必ず感性を刺激される、と思った。
この切り口で臨んだ大島監督は、本当に凄い人なんだな、と実感した次第。
定と吉蔵の待合での仮祝言シーン。この後の酒池肉林の場は、名作に相応しい崇高さが漂う。
かのクインシー・ジョーンズも、この映画に感銘を受け世界に名だたるヒット作を放った。
日本語歌詞の中に英語が入るのが当たり前の当時、英語歌詞の中に日本語があるのがとても斬新だった曲。
ディスコブームだった頃、どれだけこの曲で踊ったことか。
この映画についての、藤竜也氏のロングインタビュー記事もあったので紹介しておきたい。
『愛のコリーダ』についての藤竜也のインタビュー
この映画の舞台となった昭和11年は、あの2.26事件があった年。
軍国主義が忍び寄る暗い世相の中でこの事件が落としたモノは、純粋な愛の形だったのかもしれない。
R18なのでお子ちゃまは絶対見ちゃだめだけど(当然)、男女問わず大人は一度は観ておいたほうが良い名作だと思っている。
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