桜の花も満開となり、もうすぐ桜吹雪になりますね。
毎年この頃になると、作家の故向田邦子さんのエッセイを思い出します。
タイトルは「あだ桜」。
「父の詫び状」の中の一説ですが、けだし名文です。
無為に過ごしてしまう人生の愚かさと人間の切なさを、自分と祖母の生き方になぞらえて綴っていくくだりは圧巻ともいえます。
今日と同じ生活が、明日も続くとは限らない、綺麗に咲いている桜が明日も同じように咲くわけではない、夜中に嵐が来て散ってしまうかもしれないのだから・・。
明日やればいいとか、明日まで待てばいいとか、無為に時を過ごしていると、夜中の嵐で後悔することになる、のでしょう。
「明日ありと 思う心の
あだ桜
夜半(よわ)に嵐の
吹かぬものかは」
分かってはいても、同じ過ちを繰り返してしまうものですね。
私も”夜半に嵐が吹きっぱなし”です。